AIS水球チームの紹介をホームページを元にまとめたものです。

AISの水球

 水球は1985年にAISの種目になり、男子のプログラムがキャンベラで開始された。15名のプレーヤーがCharles Turnerヘッドコーチの元に選抜された。その前年のロサンゼルス五輪でオーストラリアは5位の成績を収めていた。

 AISの女子水球プログラムは、1993年に開始された。男子と違い女子は選手を分散させ、AISの女子水球コーディネーターのSharyn Gistによってブリスベンで運営されている。選手たちは、全豪各地のトレーニングセンターで練習しており、ナショナルチームの合宿や国際試合で合流する。2000年開催のシドニーオリンピックでは女子水球が始めて採用された。

AIS選手の選抜

 男子プログラムの目的は、ナショナルシニア及びジュニアチームのための選手を育成することである。オーストラリア代表に値すると認められた選手は、奨学金を与えられる。

 女子のナショナル選手にも奨学金は与えられ、ジュニアチームの選手にも与えられている。

 AISの選手はコーチング、様々な施設や設備へのアクセス、スポーツ医学、スポーツ科学、遠征費、就職の斡旋、住居、食費、教育費などを受けられる。すべての選手に対して、その種目のトレーニングや競技をするのと同じように、勉強や仕事をすることが奨励される。選手によっては、AISにある住居が提供されている。

コーチ

Don Cameron(男子コーチ)
 1978〜1988年までオーストラリアナショナルチームのゴールキーパーを務める。1985年FINAワールドカップ、1986年世界選手権、1988年ソウルオリンピック出場。1985、1988年のAIS水球チームのキャプテン。
 彼は1986年にAISプログラムのコーチとなり、1989年にナショナルチームのアシスタントコーチとなる。また、1989〜1996年にナショナルコーチングディレクターを務める。1997年に長年ヘッドコーチを務めたCharles Turnerの後任として、DonはAISの水球プログラムのヘッドコーチとなり、男女両方のプログラムの実施を担当してきた。また、1998年の世界選手権男子チームのアシスタントコーチも務めた。1998年に男子ナショナルチーム及びAISヘッドコーチに任命された。
 1994年にオーストラリアコーチング協会からEunice Gill Coach Education Awardを受賞している。

Istvan Gorgenyi (女子ヘッドコーチ)
 オーストラリア水球協会は、1995年にIstvanをビクトリアトレーニングセンターのヘッドコーチに、1996年にナショナルコーチに任命した。1997年にはナショナルジュニアコーチとなった。
 1998年半ばには女子シニアチームのコーチ及びAIS女子プログラムのヘッドコーチに任命された。
 彼の選手歴は、96回のハンガリー代表選手、1972年ミュンヘン五輪銀メダル、1973年世界選手権優勝、1975年世界選手権第2位、1974年ヨーロッパ選手権優勝などである。
 彼のコーチング歴は、1984〜1990年ハンガリーナショナルリーグでUjpest TE Sporting Clubのヘッドコーチ。1986年リーグ優勝、1989年2位、ハンガリアンカップでは1987年3位、1989年2位、1986年ヨーロピアンカップ準決勝進出というものである。
 彼は1991年に、フランスナショナルリーグのCACEL Nice Water Polo Clubのヘッドコーチに就任した。1991〜1994年の間で、1991年にクラブはフランスリーグで頭角をあらわし、1992〜1994年に優勝、フレンチカップでは1992年に2位、その翌年の1993、1994年には優勝している。1993年のヨーロピアンカップのセミフィナルまで進んでいる。

Sharyn Gist(女子コーチ)
 Sharynは1984〜1989年及び1993年にオーストラリア代表であった。
 1988〜1992年にクィーンズランド大学で人間行動学(教育学)を学び、教育学士を取得。
 1993年にはオーストラリアコーチ協会のスポーツコーチングの学位記を取得。AISの男子水球プログラムのコーチ奨学生となった。そして、1993年のユニバーシアード大会で男子チームのアシスタントコーチを務めた。1995年以来、ブリスベンにあるAISの女子水球のコーチ及びコーディネーターとなる。現在、20歳以下の女子チームのアシスタントコーチで、1997年世界ジュニア選手権で銀メダルを獲得。女子シニアチームのゴールキーパーコーチでもある。


奨学生(1999年)

男子>
Trent Birkett (Victoria), Sean Boyd (Cronulla), Eddy Denis (Sydney Uni.), Trent Franklin (Sydney Uni.), Tomaz Lasic (Fremantle), Daniel Marsden (Sydney Uni.), Nick May (Victoria), Craig Miller (Cronulla), Ryan Moody (Victoria), Tim Neesham (Fremantle), Mark Oberman (Cronulla), Paul Oberman (Cronulla), Rod Owen-Jones (Sydney Uni.), Peter Petrov (Fremantle), Dean Semmens (Balmain), Jamie Smyth (Victoria), Peter Soros (West Sydney), Rafael Sterk (Adelaide), Nathan Thomas (West Sydney), Peter Tresise (Fremantle), Grant Waterman (Cronulla), Thomas Whalan (Sydney Uni.), Gavin Woods (Balmain)

<女子>
Jodie Birch (Qld), Belinda Brooks (WA), Jemma Brownlow (NSW), Naomi Castle (Qld), Nikita Cuffe (Qld), Kylie English (WA), Julia Flaskas (QLD), Joanne Fox (VIC/WA) , Bridgette Gusterson(WA), Simone Hankin (NSW), Yvette Higgins (NSW), Kate Hooper (WA), Tanya Keogh (Qld), Emma Knox (WA), Lauren Mandell (NSW) , Bronwyn Mayer (NSW), Gail Miller (Qld), Melissa Mills (Qld), Jodie Stuhmcke (Qld), Melissa Rippon (NSW), Rebecca Rippon (NSW), Debbie Watson (NSW), Elizabeth Weekes (NSW), Sharan Wheelock (WA), Danielle Woodhouse(WA), Taryn Woods (NSW)

トレーニング

 これはAISで行われている水球選手のトレーニングの一例である。

*選手は、一般的に午前中週5回、基本練習と特別な体力トレーニングを行う。
フィールドプレーヤーは8キロのスイムを行う。これには水球に必要なボールを持っての泳ぎが含まれる。続いて、45分間パスとシューと練習。ゴールキーパーは1〜1.5時間泳ぎ、ゲーム状況を想定したフットワーク練習。その後、フィールドプレーヤーとパスとシューと練習を行う。

*週に4回、技術習得のためや向上のための練習を行う。
すべての選手は2〜3時間に渡り、ボールスキル、パス、シュート、一般的なボールコントロールの練習を行う。特殊な動きや戦術練習も行われる。
AUS Water Polo National Team Trainingへ

*選手は、筋力、持久力障害予防のために、1週間に3回ウェイトトレーニングを行う。
この練習は1回1〜1.5時間行われ、筋力の向上、水中でのパワーの増大、障害の予防を目的として行われる。ベンチプレス、ラテラルプルダウン、トライセプスプレス、ベントアームプルオーバー、ベンチロウ、バイセプスカール、レッグプレス、バックスクワット、ランジ、デッドリフト、パワークリーン等がウェイトトレーニングの内容である。シュート時に大きな力が加わる部分の腹筋群、腰部、肩部を動かしたり、安定させたりするトレーニングも重点的に行われる。
AUS Water Polo Weight Trainingへ

AISの水球プログラムのハイライト

 AISの水球プログラムは、現在オーストラリアの男女ナショナルチームの基礎を形成している点で、発展してきた。
 男子プログラムの初年に、4人のプレーヤーがFINAワールドカップのオーストラリア代表選手に選考された。また他に、2名の選手が西ドイツの6民族トーナメントに出場を果たした。AISはナショナルリーグのタイトルを1986年と1987年に獲得した。
 オーストラリアは、1988年のソウルオリンピック予選で出場権を得て、1948年以来の連続出場を果たした。オリンピックチームは6人のAIS選手、3人の元選手を含み、8位となった。1991年の世界選手権では7位となった。緊迫した試合であったことを示すのは、オーストラリアが僅か1ゴール差でメダルラウンドを逃したことである。メンバーの大部分は、AISの奨学生であった。
 AISコーチのCharles TurnerとDon Cameronがコーチを務めたオーストラリアチームは、1992年のバルセロナオリンピックで5位を収めた。過去のオリンピックと世界選手権での最高順位である。13人のメンバーすべてがAISの水球プログラムを受けた選手である。また男子チームは、1993年FINAワールドカップでUSAを破り、銅メダルを獲得した。 女子チームは、分散式のAISの女子プログラムが開始された後のワールドカップで5位となった。1993年に最初の女性奨学生コーチのSharyn Gist(Qld)を採用した。1994年と1995年に男女のプログラムは、主要な国際大会に備え、シニア、ジュニア両方のオーストラリアチームを強化することを目的とした。1995年のハイライトは、第9回女子ワールドカップで優勝したことである。また1995年には、カナダで行われた第1回女子ジュニア世界選手権で銀メダルを獲得した。そのチームには5人のAIS奨学生が含まれていた。
 シニア男子チームは、世界トップ8で行われたハンガリアンカップで優勝した。
 福岡で行われたユニバーシアードで12人の現・元奨学生が含まれたチームは、ロシアを破り銅メダルを獲得した。世界ジュニア選手権で男子チームは、この大会最高位の4位を獲得した。
 残念ながら男子チームはわずかの差で1996年のアトランタ五輪の出場権を逃した。ベルリンで開催された五輪予選で、1ゴール差で8位の出場権を決定するゲームに敗戦を喫してしまったのである。しかし、アトランタ前年に開催されたローマ・インターナショナルトーナメントにおいて、新コーチErkin Shagaevの元、オーストラリアチームは2位となり、世界の水球に通用することを証明した。アトランタ五輪で銅メダルのイタリアに接戦の末負けたものの、金メダルを獲得したスペインチームを破ったのである。
 女子チームは、1996年のオリンピックイヤー・トーナメント(オランダ)で銀メダルを獲得した。1997年には、女子チームは第10回ワールドカップ(フランス)で銅メダルを獲得した。この大会では優勝したオランダに負けただけである。7人のAIS奨学生を含む女子ジュニアチームは、第2回世界女子ジュニア選手権(チェコ)で銀メダルを獲得した。7人の男子AIS選手を含むチームは、ユニバーシアードで第3位となった。6人の居住奨学生と二人の非居住奨学生を含む男子ジュニアチームは世界選手権で4位となった。
 1988年の世界選手権(パース)では、女子チームが第3位を獲得、男子は第4位に終わった。
 女子チームは1999年のワールドカップ(カナダ)で銀メダルを獲得した。これらの結果は、1998年に出場した水球チーム中、オーストラリアが世界1であることを証明している。

AIS選手たちの業績

 シニア及びジュニアの男子チームには、多くのAIS奨学生が含まれている。過去10年間に主要な国際大会でシニアチームに選ばれたAIS選手の数は以下の通りである。

1985 World Cup - 7
1986 World Championships - 5
1988 Seoul Olympics 6
1989 World Cup - 7
1990 Goodwill Games - 6
1991 World Championships - 8
1992 Barcelona Olympics - 9
1993 World Cup - 9
1994 World Championships - 8
1998 World Championships - 13

==============================


ナショナルチームの選手はキャンベラに居住してAISで練習を行う。
AISのメンバーの半分は学生であり、キャンベラ大学またはオーストラリア国立大学に通う。ナショナルリーグのシーズン中は、ほとんどが夏休み(11月後半から2月下旬まで)にあたるため、各所属チームにおいて練習、リーグ出場していた。
社会人選手はキャンベラで職を持ち、リーグ戦期間中もAISの監督コーチの元で平日の朝、晩練習し、週末各チームと合流し試合に出場している。

スカラーシップについては上述の通りだが、具体的な例をあげてみる。
若てのピーター・ソラス選手は、22歳ぐらいであり、ナショナルリーグ期間中も試合日以外はAISでトレーニングを続けている。彼は95年からスカラーシップを受けているが、現在は政府の観光局で仕事をする他、メルボルンにあるモナーシュ大学の通信制で学んでいるという。大学の指導教官とはE-mailでやり取りをしているそうだ。
他のAISの学生選手は、大半がキャンベラにあるオーストラリア国立大学かキャンベラ大学に行っているそうだ。
ベテランのクレイグ・ミラー選手は、33歳でスカラーシップも90年から受けている。彼は、現在キャンベラで職を持っており、朝7時からの練習にはスーツを持参し、練習後仕事に行くらしい。
いろいろな状況の選手がいるが、3月からはみんな仕事はオリンピックに向けて休むらしい。

また、ナショナルリーグ期間中の2月中旬頃に、選手(ベテランだけか)を1人づつ監督、コーチの部屋に呼び30分程度のミーティングを持っていた。これはスカーラーシップについて継続の意志、今後の方向性、オリンピックに向けての姿勢などについて話すためだそうだ。
なお、AISには選手の職業や勉学を安定させるためのセクションがある。

スイムトレーニングやフットワークメニューはDenes Posik氏が与えていた。ウェイトトレーニングやボクシングは専門のトレーナーが指導していたが、彼は朝、午後ともほとんど練習には来て見ている。

一方、Don Cameron氏は、よくビデオを活用しており、研究室でのビデオによる戦術分析や、キーパーのトーマス・ラシック選手のポジショニングをビデオで撮影して指導している。
また、インターネットでのナショナルリーグや各国の試合の情報収集、雑誌の記事収集を頻繁に行っており、選手たちにも必要な情報を配布している。


AUS National Teamへ